鄙びの極地、ガンゼンハウザー/スロヴァキア・フィルによるドヴォルジャーク

ドヴォルジャーク交響曲全集/ガンゼンハウザー指揮スロヴァキア・フィル

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ひと通り聴いてみましたが(「2番」と「4番&8番」は単売盤を古くから持っておりました)、「3番&6番」の一枚が白眉ですね。曲調にここでのスロヴァキア・フィルの"鄙び感"がどハマりしてます。そしてこうやって聴いてみると、3番と6番という二曲の相性の良さ(絶妙なカップリング性)に気付かされます。この全集のウィークポイントである録音の力感の無さ(この録音に限らず初期NAXOSのスロヴァキア物には総じて言えることなのだけれど)と、オケの素朴な音色とが醸し出す"鄙び感"が、曲調と相まって昇華している奇跡的な好例…とまで言ったら過言かもしれないけど、まぁそんな風にも思えました。ガンゼンハウザーの指揮が聴けば聴くほどなかなか良くて(失礼!)、それこそ録音(音質)がもっと優れたものであったなら!などと思ったりもしました。

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マズアのぬるい夜の歌

ひとえに私の音楽聴取的素養の解像度が低いからなのだろうけど、マズアという指揮者がどういう音楽をやりたい人なのかがさっぱりわからない。手兵たるオケが超一流でなかったことなど一度もない筈だが、聴く音楽聴く音楽ことごとくピンと来た試しがない。

このマーラーの7番(夜の歌)も終始一貫して表現がぬるく、ゲヴァ管ともあろうオケも演奏ダルさ極まりない。微温的、とでも言うんですかね…。
ただこの曲、曲自体のキャラ付けが微妙だったりして、実際に言われる"よくわからない""難解"などといった評価を採った場合、このマズアの演奏はそれを体現した真に迫るものだ、ということになるのかも知れない。

…いずれにせよ、この曲を相当聴き込んだ人向けの録音であり、「初めての夜の歌」としてのチョイスにはちょっとハードルが高い盤、なのではないかしら。

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ある日の収穫、目の付けどころ

シベ2はアツモン指揮都響!日本のオケの録音は出物も少ないのでなるべく見つけたら入手しておきたい。

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何の変哲もないショルティ/シカゴのブラ4に見えますでしょ?…AADなんですよこの盤。ADDじゃなくてAAD。

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ネバーヤングビーチは、ボーカルの安部さんがリリーフランキーさんの「スナックラジオ」にゲストで出られてから盤を買って聴いてみたいと思っていました。俳優の高橋一生さんの弟さんなんですよね。

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王道とは。ノイマンが振るドヴォルジャーク

安定のノイマンチェコ・フィルによるドヴォ6。1982年のデジタル録音。

ドヴォルジャーク交響曲で「ん…ちょっと…?」という感触の曲があっても、このコンビの録音で聴くと「ああ…なるほど…!」となる確率が自分の場合、かなり高い。

…あ、ドヴォ6はクラヲタ初期の頃から好きな曲なので「?」は無く…王道、手に入れておくか!といった感じで収穫です。

ノイマンの芸風とこの曲、合ってますよねー。

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マーラー3番、インバル/フランクフルト(現hr)

マーラー交響曲第3番、エリアフ・インバル指揮フランクフルト放送響(1985年録音)で。

この曲を「夏の交響曲」と呼ぶ向きもあるとかないとか。この盤は少し前にブック◯フで収穫したもの。かの店では、巷で有名盤と見做されているもの、しかしこれまで自分は聴いても持ってもおらなかったもの、というのを、(手頃であれば)入手しておく、というスタンスでも臨んでおります。

ここでのインバルの指揮は、音楽の大きな流れをダイナミックに感じさせる棒運びで、緻密と豪胆が同居する世界をこの優秀なオケがまた見事に表現している、と思います。録音はDENONと放送局とのタッグで安定の良さですね。

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ヤンドー探訪、グリーグ/シューマンP協

グリーグシューマンP協、アンドラーシュ・リゲティ指揮、ブダペシュト響、1988年録音。硬質でクリア、粘らず、指がよく回り、聴いていて聴き疲れせず、聴き終わって聴きもたれしない、喩えるなら甲類焼酎のようなピアニズム。氏がNAXOSレーベルへ盛んに録音していたのは年齢的には30〜40代だったということになる。氏がその後、どのような演奏をしていたのか、そこに変貌、変容はあったのか。"NAXOS後"のヤンドーのピアノにも興味を抱くところだが、差し当たっては氏が同レーベルに残した大量の録音の数々をコツコツと収集していくことかな、と思う。

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