隠れた秀演、リーベルマン/北オランダ管によるベートーヴェン

ベートーヴェン交響曲第5番を、ヴィクトル・リーベルマン指揮、北オランダ管弦楽団の演奏で。

 

いわゆるメジャーどころではない録音(これはオケの自主レーベルなのかな?スポンサーにはエリクソンをはじめ数社のクレジットが)、そしてオケも指揮者も、この盤を入手してから調べてみて初めて知るに至った次第でしたが、なかなかどうして、実に立派な演奏で驚きました。隅々までオケをよく鳴らしモダン編成の長所を味わわせてくれながら、主に前半は小気味よく、後半(特に終楽章)にはそこに恰幅が加わり堂々の終着。指揮者の手腕に感服、ヴィクトル・リーベルマンとは何者…?と調べてみたら、1931年ロシア生まれで、ムラヴィンスキー治下のレニングラード・フィルで長らくヴァイオリン奏者として在団、1979年にオランダへ移住、1999年に没するまで同地で奏者として指揮者として、そして教育者としても活動したのだそう。己が個性でオケを染め上げるタイプの指揮者ではなく、オケを上手にまとめ、豊かに鳴らし、そうして自然と音楽(作品)を輝かせる、そんなタイプとお見受けしました。

Viktor Liberman - Wikipedia

カップリングの「コリオラン」序曲、「エグモント」序曲も共に素晴らしいです(交響曲よりも演奏のコンディションは少し優るかも)。

 

「いやぁ、良い演奏を聴いた」と、充実の聴後感に浸れる一枚でした。